国民ファースト
若狭 勝代表殿 
 
平成29年8月14日
村田光平
(元駐スイス大使)
 残暑お見舞い申し上げます。
 失礼の段お許し願います。
 長年にわたり脱原発、そして力の父性文明から和の母性文明への転換を訴えて参りました元スイス大使の村田です。エジプト在勤中(1971~1973)留学中の小池百合子都知事を親しく自宅にお招きしたことが想起されます。

 日本の現状は、漸く新たな時代の到来を予感させるに至っております。特に、すべての人の道に反することは露見するという天地の摂理(歴史の法則。老子の天網)が実感される昨今です。 ハーヴァード大学で最近、老子研究が人気があると言われるのも肯けます。

 五輪返上への世論の動きが実感されだしております。大手メディアは最近五輪のあり方を根本的に問いただす読者の声を取り上げだしました。
 開催国の新しい選定方式、特定の競技の特定国による持ちまわり開催等々興味深い提言が散見されます。
 五輪のスポンサーである毎日及び朝日までも別添記事の通り五輪批判を強めつつあります。
「人の命や健康を犠牲にして行われる五輪など、矛盾以外の何物でもない」(8月14日付き朝日社説)
「東京五輪は安倍晋三首相が「福島の汚染水はアンダーコントロール」と全世界にウソをついて招致した。安倍内閣は「東京五輪のため」という美名の下で、人 権を制限する「共謀罪」法を無理やり成立させた。東京五輪を口実に、民主主義が壊されようとしている。   少なくとも、我々は“東京五輪病”を返上すべきだ!」(8月7日付毎日夕刊)

 各方面からの要請を受けながら福島事故への対応の現状の把握を軽視する国際オリンピック委員会(IOC)の責任は誠に重大です。今秋のIOC理事会で変 則的に2024年パリ及び2028年ロサンゼレスが決定される予定と伝えられますが、オリンピックの新しいあり方についての議論が尽くされることがその前 提として不可欠と考えます。IOCはリスク回避のために、初めての開催地が登場することによるオリンピック・ムーブメントの拡散よりも、大都市の開催によ る商業主義を優先したとの批判に耳を傾け、これに答えることが求められております。

 福島県庁を始め竹本修三京都大学名誉教授等の専門家が度重ねて警告するように、福島第一で巨大地震に伴う2号機建屋の崩壊による原発大惨事が再発すれ ば、東京五輪の開催は返上を余儀なくされます。最近の地震の頻発に接し、その懸念が深まる一方です。全世界が求める福島事故収束への全力投球を可能にする ためという大義名分の五輪返上の決定が急がれます。

 この決定がもたらす計り知れない影響に鑑みれば、五輪問題がいよいよ政治問題化することは必至と思われます。

 日本の新しい将来に向けて、一層のご活躍とご発展をお祈り申し上げます。
敬具


追伸 多大の反響を呼んでいる久米宏氏のインタービュー記事および7月29日付毎日新聞夕刊記事、8月14日付き朝日社説を別添いたします。
なお、東京五輪の新国立競技場建設に使う木材に関して、安価調達のためペナンやマレーシアの先住民の権利侵害してまで伐採されるとして、ドイツやスイスの日本大使館に14万人の非難署名が送られるとの情報が伝えられ、外務省もこれを認めております。



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