原子力規制委員会
田中俊一委員長殿

 
 20日、大阪大学名誉教授の長谷川晃先生(米国Maxwll 物理学賞受賞者)より、原子炉に関する科学の基本は原子炉燃料は放っておくと核分裂反応が加速し(燃えだし)、放射性物質が無制限に発生する(暴走する) ということであり、原子炉はどのような対策を講じても基本的に科学的に危険な存在であるとして、原子力規制委員会の川内原発の運転継続問題なしとする判断 は科学的ではないとする下記の見解が寄せられました。
 
「先般大津地方裁判所が高浜原発の3、4号機の運転差し止めの仮処分を決定した時、原子力規制委員会は裁判所が科学的判断に踏み込んだ決定をすることは納 得できないというコメントを発表した。今回の熊本大分大地震に際し、同委員会は川内原発の運転には地盤の動きを表す加速度が十分許容範囲に入っているので 科学的に問題ないとコメントした。原子力規制委員会はこうした一連の事件に対し「科学的」という根拠をベースとしているので、一科学者として私はこの主張 に反論したい。科学的というのであれば、構造物に対する加速度の許容性といった、科学の詳細な応用ではなく、科学の基本をベースに議論すべきである。原子 炉に関する科学の基本は原子炉燃料は放っておくと核分裂反応が加速し、(燃えだし)、放射性物質が無制限に発生する(暴走する)ということである。この基 本的科学的性質がある限り、原子炉はどのような対策を講じても基本的に科学的に危険な存在である。大津地裁の判決はこの原子炉の持つ基本的科学的性質と憲 法第13条の国民の生命、自由、幸福の追求の権利に照らし合わせた科学的にも法的のも極めて妥当な判決であり、また、今回の熊本大分大地震に関する、原子 力規制委員会の川内原発の運転継続問題なしとする判断は科学的ではない。」
 
 熊本・大分の大地震にもかかぉわらず稼働を続ける川内原発に、多くの即停止命令の署名及び要請が届けられています。
 福島の収束の目途すら立たない中で、再稼働をすすめる日本を危ぶむ声は、国内外で益々高まっています。
 福島第一原発自体が「under control」でないことを承知しながら、これを問題としていないのは日本と国際オリンピック委員会(IOC)のみです。
 国際社会はこれを問題とし始めております。

 林幹雄経済産業大臣宛メッセージを別添いたします。(下記)
 
村田光平





林 幹雄経済産業大臣殿 
平成28年4月18日
村田光平(元駐スイス大使)
拝啓
 突然本FAX信を差し上げる失礼をお許し願います。
 在職中より原発事故演習を求めた元駐スイス大使の村田です。14年前に発行した「原子力と日本病」(朝日新聞社)は福島事故を予見したものとしてこのほど「石橋湛山賞」にノミネートされました。事故収束のため全力をつくすための東京五輪返上を訴え続けております。

 田中原子力規制委員長宛メッセージをお届けいたします。
 天地の摂理が実感される情勢となりました。
 国民の生命を守るために取り返しの付かないことが起こることを回避することが最優先されるべき時期が到来したと信じます。

 六ヶ所再処理工場は最悪の場合原発1000基分の大惨事になるとされており、度重ねてその閉鎖を求めてまいりました。このような恐ろしい禍根を放置して いることは罪深いことです。最近著名な原子力問題の専門家Mycle Schneider氏は「After the Paris-Agreement: Corporate Meltdown in the Nuclear Industry」(パリ合意後、世界の原発はどうなっているのか」(Asahi WebRonza)と題する記事で原子力企業のメルトダウンを明解に論じております。
 そろそろ終わりの始まりと期待させる内容です。

 他方、東京五輪に関してはIPPNW(核戦争防止国際医師会議。83カ国、約20万の医師が参加している。1985年にノーベル平和賞を受賞)の幹部から別添(こちら)の菅元総理宛書簡の通り8年から12年の先送りの具体的提案がなされるなど国際社会の動きが注目されます。決断が求められております。

 日本は国家の危機に直面しております。
 貴大臣のご指導とご尽力をお願い申し上げます。
敬具




ホーム
inserted by FC2 system