陳情書
2023年1月15日
岡桂子文部科学大臣宛

日本イコモス国内委員会より提案された「神宮外苑の日本の名勝への指定」を支持します。
神宮外苑は、その豊かな自然環境は言うまでもなく都民が愛する、公益性公共性の高い文化資産であります。 明治神宮外苑は、明治天皇の崩御をきっかけに国 が整備した内苑とは対称的に大衆が集う庭園となることを目的に「民間主体」で国民からの献金、献木、勤労奉仕などによって整備されたものです。 明治天皇 とその皇后様への国民の愛情の象徴である神宮外苑は、世界で王室皇室を擁する30ヵ国の内の一国家として、日本に天皇制が存続する限りその象徴として後世 に大切に守り継がれるものであると信じます。 また神宮外苑の意匠は、20世紀初頭の「都市美運動: City Beautiful Movement」のデザイン思潮を踏まえたものであり、近代日本を代表する庭園建築であり、その文化的景観の価値は言うまでもなく、東京都民にとって先 人の思いが未だ残る歴史的価値の高い文化遺産でもあるのです。
実際、東京の類まれな美しさは、人間と自然の共生が東京のような大都市の中で見事に具現化されている事です。海外から訪れる外国人たちがまず感心し魅了さ れるのは、まさにこの自然と都会、伝統と近代の完全な共存が 21 世紀においてもなおこうして継承されている事です。それは古代から私たちの先祖たちが丁寧に今に繋いできた伝統であり、世界に誇る日本の文化です。
その綿々と伝えられてきた伝統は、先人が行なってきたのと同じように丁寧に次世代に受け継がれるべきです。
また、健全な社会形成を考えるにあたり樹木や自然を考えることは歴史と文化を尊重する社会の原点です。文化はこれから成長していく子供たちや若者たちの精 神の糧であり、健やかな未来の保証でもあり、そして自国の文化を守ることは、日本人としてのアイデンティティを確立し、その国民の尊厳を守る行為でもある と考えます。
未来の子供たちにできる限りの自然を、緑を残したいと考えます。 それが、戦後日本の目覚ましい復興を熱望するあまりに都市の近代化、発展にの み盲進して国土の自然をここまで破壊してしまった私たち大人の責務であり残務です。子供達に彼らがその日常の中で木々と親しむことなく、緑の風の中で走り 回ることなく、木々の落とす涼やかな陰でその汗を拭う事なく、そこに生息するさまざまな生き物に目を輝かせる事もない、そんな世界を残したくはありませ ん。自然もまた人々の暮らしにおいてまた子供たちの成長において欠かせない文化です。
都民だけでなく多くの国民に愛され、日本の近代建築の粋を極めた美しい庭園と自然が織りなす見事な遠景を擁し、先人の善き思いが脈々と息づき、そして厳しい戦火をも生き抜いた樹木たちによって形成される神宮外苑は日本の名勝に相応しいと確信いたします。
神宮外苑を日本の名勝に指定していただき、日本が世界に誇る文化的資産をそして自然と人間の密接な共生と言う日本の伝統をそして日本が今まで歩んできた歴史を、どうか未来の次世代へと大切に継承していけますように、ご尽力いただく事を心から要望いたします。

Rochelle Kopp
楠本淳子



永岡桂子文部科学大臣殿
令和5年1月19日
村田光平
(元駐スイス大使)
拝啓

失礼の段どうかお許し願います。
市民社会を代弁する立場から長年に亘り発信を続けている元駐スイス大使の村田です。
力と支配に基づく父性文明を倫理と連帯に基づく和の母性文明に転換させることを訴え続けております。

このたび岸田総理宛メッセージを発出いたしましたので、ご参考までにお届けいたします。
5月のG7サミットへの対応に資する私見をお伝えいたしました。
貴大臣の一層の御活躍と御健康をお祈り申し上げます。
敬具



岸田文雄内閣総理大臣殿
令和5年1月17日
村田光平
(元駐スイス大使)
拝啓

5月の広島におけるG7サミットを念頭に所感を申し述べさせていただきます。

欧州最大規模とされるザポリージャ原発で見られた原発砲撃を前にして世界は原発の存在を許している現状の恐ろしさを思い知らされました。原発は所在国に向けられた核ミサイルだからです。

カーボンニュートラルを理由に、また、ウクライナ危機が招来しているエネルギー不足を理由に原発依存を強める動きが強まりつつありますが、これは邪道です。原子力は本来不道徳・無責任だからです。
不道徳・無責任の永続を許さないのは歴史の法則です。

人類と地球を守るのは天地の摂理です。
老子は天網により全ての悪事は発覚し罰せられるとの警句を残しております。
天地の摂理、歴史の法則及び老子の天網は哲学の教えの三原則です。
このような哲学の教えに立脚した情勢判断が益々求められる現下の情勢です。
 
世界が直面する危機をもたらしているのは倫理の欠如であることが益々明白です。これに対処するために長年に亘り提唱されてきた国連倫理サミットの早期開催 が強く望まれます。同サミットは地球倫理の確立、力と支配の父性文明から和と連帯の母性文明への転換及び核廃絶の実現という三位一体の目標を掲げておりま す。

脱原発も核廃絶もなかなか実現しません。新たな対応が求められております。ロシアによる核使用が現実の脅威となった状況下で核廃絶を本気で進めることが喫緊の課題となりつつあります。
脱原発は核廃絶実現の前提条件であると新たに位置付け、核廃絶運動と脱原発運動を結合して新たな気運をもりあげることが現状打破に資すると確信致します。

福島の放射性汚染水の海洋放出が今春にも始まることが報ぜられ、世界の関心の高まりを招いております。しかしながら海洋放出については日本が排他的経済水 域を失うことになりかねない可能性を含むことが判明いたしました。外務省の担当官から他国の同地域における権利の行使に対して妥当な考慮を払う条約上の義 務を負うことが確認されたからです。

韓国、中国、ロシアなどはこの問題に厳しい反対の立場を打ち出していることに鑑みますと上記を見逃す筈はないと思われ、日本が排他的経済水域を失うことになりかねない可能性を含むことが判明したと思われます。

貴総理の御理解と御支援を心からお願い申し上げます。
敬具

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