日本経団連
米倉弘昌会長殿

平成24年7月2日
村田光平
拝啓

時下益々ご清栄のこととお慶び申しあげます。

 6月30日、4号機の冷却が停止する事故が発生いたしました。幸い現時点で冷却は再開されておりますが、その前日に私から近藤原子力委員長にお送りした別添のメッセージからは、このような事故の発生は予見されるものでした。
 6月21日「東北エンタープライズ」の名嘉社長から電話で聴取した内容はご報告済みですが、6月26日にさらに深刻な状況の報告を受け別添の近藤委員長 宛メッセージを発出した次第です。是非ご一読願います。世界の安全保障問題として海外から注目されている4号機のこのような危機的状況に対して、最大限の 対応がとられていない現状に対して世界は批判を強めていくことは確実です。
 このままでは再稼働停止運動のさらなる高まりが予想されます。6月29日の総理官邸を囲む画期的な国民による抗議集会は確実に新たな時代の到来を印象付 けました。福島事故から教訓を学ぶことなく、「過酷事故さえ起こさなければ安全」との危険かつ不純な発想からストレステストを活用して再稼働が実現される に至っております。
 重要な法律が無視されております。2006年に定められた新しい耐震安全指針は原発の基本的体力を判断するための「バックチェック」を求めているのです。54基の原発中これまでその結果が発表されているのは僅か1基にすぎないのです。
 福島事故の直接的原因が津波ではなく地震であることは知る人ぞ知ると言われております。一方的に津波説をとり津波対策だけで再稼働の是非を判断するのは専門家でなくても不適切であることは自明といえます。

 ご賢察の通り日本は国際的に名誉挽回を必要としております。
 8月までの脱原発政策の確立だけがそれを可能とします。

 今後とも福島被害者に対する思いやりに立脚し、福島事故の教訓を正しく反映した脱原発政策の確立に向けてどうかご尽力をお願い申し上げます。
敬具



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