脱原発への試案
平成15年11月7日
                         村田光平
1 「国策」転換を必要とする理由

(1)浜岡原発の異常性
 マグニチュード8クラスの地震が予測される東海地域のど真ん中に、原子力発電所4基が建設され、さらに5基目が建設中という現実。地震学の権威である茂 木清夫東大名誉教授および石橋克彦神戸大学教授は、すでに2000年7月、札幌で開催された国際会議において、原発震災による未曾有の破局の可能性につ き、重大な警告を発している。
(2)六ヶ所村の異常性
 六ヶ所村の下記のような動きは、青森県のみならず、日本全土にも影響を及ぼしうる重大な危険性をはらんでいる。
イ. 再処理工場
 最悪の場合、原発1000基分という人間の想像をはるかに超えた事故となり世界の人口の半分近くの犠牲者を生むと言われている六ヶ所村の再処理工場に、 最近300ヶ所余りの不正溶接が発見され、ズサンな工事の実態が世間を驚かせている。当局による監視の強化で済まされる問題ではない。
ロ. ITER(国際熱核融合実験装置)
 六ヶ所村はITER(イーター)の誘致を決めているが、これに対しては、ノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊氏、およびマックスウェル賞受賞者の長谷川晃 氏が、今年3月、連名で同装置が200万人を殺傷する可能性のあるトリチウムを使用することに言及しつつ、同誘致に絶対反対するとの嘆願書を、小泉総理宛 に発出している。
(3)原発のズサンな管理体制
 管理体制のズサンさを示す事例には事欠かない。最近、新聞各紙は原発の圧力制御室に多数の異物(ごみ)が放置されていたことを報じている。10月26日 付毎日新聞は、東京電力、中部電力、中国電力の三社11基に、合計610個の異物が見つかった旨伝えている。原発のトラブル発生件数も激増しており、 2000年度は経済産業省および文部科学省関係合わせて55件であったものが、2002年度は経済産業省関係のみで102件を数える。このように老朽化が 進んだ段階で東電の不祥事を契機として「維持基準」が導入されたことは、国の管理体制に信を置けないと言わざるをえない。
(4)巨大地震発生に伴う原発震災の可能性
 地震学者の多くは「大地動乱」の時代の到来を告げている。最近の東北地震は警戒地域ではない「空白地帯」が存在することを示すものであり、これにより 「原発震災」発生の可能性は、日本中すべての原発について想定せざるを得なくなった。世界有数の地震国である狭い日本に、世界第三位という数の原発が存在 すること自体、異常である。
(5)倫理と責任とに欠ける原子力
「原発大事故の発生はない」という根拠なき大前提により、地震の被害予測において原発を完全に無視しているのは無責任の極みと言える。旧ソ連はチェルノブ イリ事故に際しては事故鎮圧のため90万人近くの人員を動員したが、日本にはそうした対策は存在しない。スウェーデンは事故を想定し、16歳以上の国民の 協力義務を立法化している。
 また、原発は正常に運転されている時も、原発での労働者や周辺の住民に放射能による被害を与えている。日本では、1970年から2000年までの31年間に、延べ140万人を超える被曝労働者を出している。その中には、帰国した外国人労働者は含まれていない。
 人類は未だに核廃棄物の処理方法を見出しておらず、恒久的に有毒な物を後世に残すことは倫理の根本に反する。劣化ウランの武器への転用・大量使用と小型 原爆の実用化に対しても、日本は非難の声をあげるべきである。唯一の被爆国として、日本は民事・軍事を問わない地球の非核化を世界に訴える責任と義務を有 すると考える。

2 脱原発へ向けての具体的方策


(1)「三方一両損」の方式による脱原発のヴィジョンを打ち出すこ
      (一両の損)     →      (大きな利益)
 ・企業  脱原発に伴う経済的損失→日本経済の壊滅的打撃の防止
 ・国   企業に対する補償→回復不能な未曾有の大災害発生から逃れる
 ・国民  電気料金の値上げ等、物質的不便→命・健康の損失等を防ぐ
(2)原子力関係組織の抜本的改組
 チェルノブイリ事故以来21基もの原発の建設を許した責任は重大である。
(3)独占的公益企業である電力会社のあり方の見直し 
 特に資金使途の管理強化
(4)核燃料サイクル政策の見直しに関する国会審議
 同政策は国会審議を経ていない
(5)原発建設および中間貯蔵施設に関する近隣県の決定参画の立法化
 町長の権限見直


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