全国知事会
山田啓二会長殿

平成23年6月29日
村田光平
(元駐スイス大使)


拝啓
時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
長年に亘り全国知事会会長に対し、日本のエネルギー政策の転換を訴える書簡を度重ねてお送りした村田です。

福島原発事故により日本国民は漸く原発がいかに恐ろしいものであるかを思い知らされるに至りました。しかしながら、定期検査後の原発の運転再開問題は、世 間にさらけ出された原子力政策とその実施体制の重大な欠陥についての反省と責任の自覚が不十分のまま、政府から地方自治体に要請が行われております。原発 の安全が真に保証される状況にはないことはご賢察の通りです。

ドイツ、イタリア、スイスなどが脱原発に踏み切る中、福島原発を抱えている日本にその動きが出てこないのは不思議です。理解に苦しむ危機意識の欠如です。 その背景にあるのもマスコミを操る「原子力村」と思われます。日本をこれほど傷つけた原子力政策に対する反省がない現状は必ず是正を迫られると信じます。 これが「天地の摂理」だと信じます。原発事故の被害者、そして東京都住民を含む被害者予備軍の積もりつつある激しい怒りが決め手になっていくと思われま す。

一町長、一知事のみに運転再開の是非を委ねる現行の政策の欠陥は貴会長も痛感されていることと信じます。この問題は全知事の重大関心事であると確信して連絡を取らせていただきました。

貴会長のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
敬具



追伸

近況ご報告までに去る5月24日発刊の「朝日ジャーナル」に掲載された小論「国際社会に問われている“平和利用”の倫理性」をお届けいたします。また私が 理事を務める地球システム・倫理学会が最近発出した緊急アピール「国連倫理サミットの開催と地球倫理国際日の創設を訴える」をお届けいたします。大変心強 い反響があり、稲盛和夫氏、梅原猛氏、川勝平太静岡県知事、インドのマニ・シャンカー・アイヤール元石油・天然ガス大臣などが協賛会員になられ、今後とも 支援の輪の拡大が見込まれております。

東日本大震災を契機として経済至上主義から解放されだした新しい日本の将来には大きな期待が寄せられます。このような新生日本が、国連倫理サミットの開催、母性文明の創設、核廃絶の三位一体の目標に向かって日本から世界へ強力に発信していくことが切望されます。

国連倫理サミットは核廃絶へ向かっての具体的第一歩であることについては、米国も同封のルース駐日米大使の私宛書簡の通り理解と支援の立場を表明しております。

「中日新聞」に掲載された浜岡原発運転停止に果たした私の役割に関するインタビュー記事も同封させていただきます.。

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