茂木敏充外務大臣殿

令和3年2月23日

村田光平

(元駐スイス大使)

拝啓

ご健勝のことと拝察申し上げます。

129日付 バイデン大統領宛メッセージを別添お届け申し上げます。

バイデン大統領に対しては、厳しい試練を乗り越え米国の民主主義を守られたことに祝意を表しました。また、女性のハリス副大統領誕生の意義を指摘し、430余基の原発の存在は深刻な安全保障問題であり、その除去が求められることを指摘し、核廃絶、地球倫理の確立、母性文明の導入などの入り口としての国連倫理サミットの開催への支援を要請しました。そして、コロナ危機が深刻化する中で、日本は一日も早く東京五輪関係の巨額の財政負担から解放される必要がある旨指摘しました。

森元総理の1月24日のご発言(何が何でも開催)は東京五輪と原発が表裏の関係にあることを立証いたしました(生命よりも経済重視)。2月7日に報じられたバイデン大統領の「米国の東京五輪に対する態度は科学に基き判断する」との発言は「何が何でも五輪開催」の立場に伺われる商業主義を切り捨てるものだと思われます。米国の五輪欠席の可能性を示唆するこの発言は、この度の大地震とともに五輪中止を予見させるものと言えます。この発言が日本では当初伏せられたことで関係方面に与えた衝撃のほどが容易に推測されます。

2月22日に開催された人間・自然・科学研究所主催の「国際Zoomシンポジウム」で行った講演で日本の外交とも関連する下記の提言を行いました。(講演原稿は私のホームページhttp://kurionet.web.fc2.com/murata.htmlの近況報告に掲載)

1.平和には母性文化が不可欠である。

2.母性文化に立脚する母性文明の台頭は弱者の救済及び男女平等の促進に大きく貢献する。

3.放射能の危険性を無視することへの対策の必要性。440余基の世界の原発は重大な安全保障問題。こうした認識は核廃絶への関心を身近なものにする。

4.脱原発の国際化が望まれる。国連倫理サミットは核廃絶への入り口として早期開催が望まれるが、脱原発についての格好の合意達成の場となりうる。日本外交の緊急課題である。

5.核拡散の防止と原発の促進という両立できない使命を与えられたI.A.E.A,の改革は急務となった。

6.核エネルギーの軍事・民事利用双方の犠牲となった日本は「核エネルギーは不道徳である」と断言出来る。

7.日本は核廃絶を世界に訴える歴史的使命を有するが、不道徳の永続を許さない歴史の法則はその展望に希望を与える。

上述の諸提言に関して特に急がれるのは国連倫理サミットを開催し脱原発の国際化についての合意の達成です。これこそ忘れられたフクシマ事故の教訓だと信じます。

貴大臣の格段の御指導と御尽力をお願い申し上げます。

                                敬具




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