民進党
山尾志桜里政調会長殿

平成28年3月28日
村田光平
(元駐スイス大使)
拝啓
 初めてFAX信を差し上げる失礼をお許し願います。
 この度の政調会長ご就任を心からお祝い申し上げます。

 在職中より原発事故演習を求めた元駐スイス大使の村田です。14年前に発行した「原子力と日本病」(朝日新聞社)は福島事故を予見したものとしてこのほど「石橋湛山賞」にノミネートされました。事故収束のため全力をつくすための東京五輪返上を訴え続けております。

 日本の現状は深刻です。
 放射能汚染地域が2012年末の時点で東京に及んでいることが、別添の文科省の資料で示され、心ある国民はこの国家の危機に衝撃を受けております。
 昨27日、長谷川 晃大阪大学名誉教授(米Maxwell物理学賞受賞者)から「メルトダウンが今も続いており、私は燃料は格納容器も突き入って地下に落ちていっているので はないかと心配してます。何もできない、全くお手上げ状態と思います」とのメッセージを頂きました。

 事故後5年を経て大きな変化の兆候が確実に見られだした感があります。
 週刊誌「女性自身」(3月22日号)は4ページをも割き別添の通り放射能汚染の実態を伝えております。子供達の健康を思いながら移住できない母親たちの苦悩を伝える画期的な内容です。東京五輪の招致への憤りを伝えております。(こちら)

 ロス在住のHunziker記者は昨秋以降7番目の記事を発表し、放射能被害を矮小化する不純な動きを実証的に厳しく批判しております。(こちら)
 Stars and Stripe紙によればトモダチ作戦に関与したレーガン乗組員が 東京電力を相手取り2012年に訴訟を起こしており、その数は370人に及びました。訴訟内容に記載されている病気は、遺伝的免疫分野の発症を含む、頭 痛、集中困難、甲状腺の問題、鼻血等々多岐にわたります。(こちら)由々しき問題です。

 この度のベルギーでの同時テロが当初原発を狙ったものであったことは海外の報道機関は連日報じておりますが、26日にいたり日本でも伝えられました。原 発は全て所在国に向けられた核兵器であることは福島事故で決定的に証明されており、この期に及んで日本での再稼働など許されるはずがありません。
 今回のテロ事件の前にヤツコ元米国原子力規制委員長は、米国の原発は市場原理により 今後15〜20年で順次廃炉に向かい始める旨を指摘していますが、この期間も安全保障の見地から大幅に短縮されることは確実と思われます。

 日本の将来が思いやられます。日本国家は危機に直面しております。今や、立場の相違を乗り超えて国民の総力を結集することが求められます。
 まずは、事態の悪化を防ぐためにこれまで等閑視されてきた福島の地下水の放射能汚染を未然に防ぐよう政府に働きかけを始めております。

 貴政調会長のご指導とご支援を心からお願い申し上げます。
敬具




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