参議院予算委員会公聴会(2012年3月22日)における村田氏の主要発言および質疑応答




村田光平公述人:

このような場で発言させていただくことは、大変光栄に存じます。

今日、ここに参りますに当たりまして、特に、みなさま方に伝えたいことがございます。
それは、いかに現在、日本、そして世界が危機的状況に直面しているかということであります。  
人間社会が受容できない、この原発のもたらしうる惨禍のリスク、これをゼロにしなければならないと、私は福島事故は全世界に想起させつつあると信じております。
そして、このような事故を体験しながら、なお脱原発に躊躇するというのは倫理の欠如という誹りを免れないと、私は考えております。
特に、この処理方法がいまだに発見されていない核廃棄物、これに象徴されるのは、今の世代の倫理の欠如と言えると思います。
そして、これは人類が緊急に取り組まなければならない課題だと信じております。

そして、この放射能汚染と、これを許すあらゆる行為は、計り知れない害悪を永久に人類と地球に残すものです。
私が出席した2005年の「OBサミット」は最終文書で、「未来の世代を含む、すべての人の認められる人権」ということで「未来の世代の人権」を認めているわけですが、放射能汚染はまさにそれを蹂躙するものであります。

特に今日、みなさまにお伝えしたいのは、福島4号機の危険な状況でございます。
毎日、日本すべての国民は、余震が起きるたびに怯えております。
この燃料プールが、もし崩壊して、1535本の燃料棒が大気中で燃えだした場合には、果てしない放射能が放出されると。もちろん、東京は住めなくなるわけです。
この1353本という数字は、実は控えめでございまして、つい数日前、私が発見した数字がございます。
それは、1号から6号、共有のプールがございまして、それは4号機から150メートル離れたところでございますが、そこに、なんと6375本の燃料棒が収められているということであります。   
まさに、この4号機が事故を起こせば、世界の究極の破局の始まりと言えるわけであります。

それにも関わらず、嘆かれるのは、危機感の欠如であります。
この対策として考えられている燃料棒取り出し作業の開始が来年末以降というのは、断じて理解できませんし、放置してはならないと考えております。
国の責任が極めて重要だと信じます。
この点に関して、ついにアメリカが動き出したようであります。
数日前入った情報によりますと、この著名な核科学者が中立の評価委員会の設置の提唱を始めました。
これは、元国連職員で世界中の著名な学者と連携を取っている松村昭雄さんが、米政府の元・上級政策アドバイザーで、使用済み核燃料の第一人者であるボブ・アルバレス氏、他の科学者たちに働きかけたものです。
そして上下両院の軍事委員会に、米軍の命の安全のための公聴会を開くように働きかけ出した、ということでございます。

次に、日本から世界の究極の破局をもたらし得るものとして指摘できるのは、六ヶ所村の再処理工場であります。
この六ヶ所村の再処理工場につきましては、1977年の1月15日、毎日新聞が記事を書いております。
これによりますと、ケルンの原子炉安全研究所の発表では、極秘レポートでありますが、西ドイツの人口の半分、3050万人が死ぬであろうという報告であります。
そして、この再処理工場の恐ろしさは、実はヨーロッパでもシェルブールの停電事件として、グーグル検索ですぐ出てまいりますが、欧州全土を滅ぼしうるものだったと言われております。
この再処理工場の危険性を私は内外に伝えておりましたところ、先週、欧州の代表的な環境学者、エルンスト・フォン・ワイゼッカー教授から、その伝えを正式に支持するという連絡が入っております。

この日本は、福島事故を経験しまして、民事・軍事双方の核使用の犠牲国となったわけでありますが、悲しいかな、今や世界的規模の放射能汚染の加害国にもなってしまっています。
毎日、毎時1億ベクレル近い放射能が出ているということも、さきほど東電で確認いたしました。毎時0.7億ベクレルでございますが、おびただしい放射能が出ているわけでございます。
これを聞くにつけ、私はメキシコの原油流出事故が止まらない時に戦慄したのを覚えております。まさに原油ならぬ放射能が、同じような状況に置かれているということであります。
私は、福島を経験した日本は、民事・軍事を問わない真の核廃絶を世界に伝える歴史的責務を担っていると信じております。
そして、私が今まであちこちで講演する際、この主張に対して異論を唱える人は皆無でありました。

そして、私はこのような危機的状況、そして福島では、まさに事故当初、作業員の全面撤退が考えられていた。
もし、その全面撤退が行われていれば、確実に世界の究極の破局の第一歩が始まっていたわけであります。
このような認識が世界に正確に伝わるならば、脱原発というものが非常に早い時期に世界的に実現し得るし、また、そうしなければ今の危機的状況を回避できないと、そのように私は信じております。

私は、そういう中で、ひとつの希望を与えてくれるものは、お配りした資料に書いてあります「天地の摂理」であります。
天地の摂理は人類と地球を守る、これが悠久の歴史から導き出される歴史の法則であると。
しかし、そのためにはむごい警告を与えてきました。
私は、1年半前、バーゼルの核戦争防止会議で、「次の大惨事は核惨事である。もし、これが起これば究極の破局につながりかねないので、人類の英知を導入して、これを未然に防ごう」という呼びかけを行いました。──残念ながら事故は起きてしまいました。
そうした中で、この日本の事故の経験からほとばしり出る声は、ますます国際社会の心ある人からの支援の対象になりつつあります。
具体的事例を申しますと、一月ほど前、マハティール元首相(マレーシア第4代首相)から私に対しまして、いかに脱原発というものが正しいかと、マレーシアは核技術を断固拒否したという主旨の手紙を受け取っております。

それから福島の事故の教訓のひとつとして、これからは新しい文明作りを始めなければならないということでございますが、この新しい文明の突破口となるの が「地球倫理の確立である」ということで、国連倫理サミットの開催というのを呼びかけているのでございますが、これに対しまして、今月に入りまして、潘基 文(パン・ギムン)国連事務総長から、私に手紙がありました。そして、「加盟国が国連総会にこの議題を提出すれば、喜んで支持する」という手紙をくださいました。
そして、アメリカのルース大使を通じまして、私たちがやっているこの国連倫理サミット、それから今の文明を「力の父性文明から和の母性文明」に変えると、こ ういう努力はオバマ大統領の提唱した「核兵器なきビジョン」が、そのために力をあわせていくことがいかに大事であるかということを想起させるものであると して、私に感謝の意を表明する手紙を下さっております。

そして、この核廃絶、真の核廃絶、民事・軍事を問わない核廃絶、これは福島事故を契機に具体的な動機になってきました。
それは何と言えば、日本は、もし核廃絶が実現せず、中国がおびただしい数の原発を造る場合には、黄砂だけでも被害者は出てしまいます。
これは、なんとしてでも防がなければならないわけであります。

それから福島事故で、もうひとつ立証されたことは、いかに原発は核テロが容易であるかと。水と電気を止めればいいと。そして、防護されていない冷却燃料プール、これさえ襲えばいいと。
そういう事実を世界に知らせてしまったということで、核保有国にとりましても、核廃絶は重要な、実質的な動機を与えられたということでございます。

そして、私は今までの経験から、核を進めようとしているフランス、インド、アメリカ等が、このような核廃絶を求める運動に対して、理解を示めしていると(確信しています)。
中国でさえ、天津科技大学が私に名誉教授の称号を与えました。それからフランスは、昨年の国際会議に私を招いてくれましたし、アメリカは先ほどのルース大 使の書簡がありますし、インド前石油大臣は私にエールを送ってきております。パチャウリIPCC議長も、しかりであります。
このように私は、核を推進する国に対する最大の貢献は、その国を核の恐ろしさに目を向けさせること、これこそ、こういった国々に対する最大の貢献であると、そのような信念のもとに活動を続けております。

そして、特にこの際、みなさま、福島4号機の危機的状況、再処理工場の恐ろしさ、こういったものについて、ぜひ必要な危機意識を持って、これからその対処 に、急いで、緊急に、もっと国が責任を持って対処、対応できるような体制づくりに、ぜひご尽力いただきたいと思います。
以上であります。


議長:
ここから村田光平・公述人に対する質疑に入ります。

00:43:52〜

外山斎議員(民主党):

民主党の外山斎でございます。
今日は公述人のみなさま、貴重な後述をありがとうございます。
それでは村田公述人に、ご質問をさせていただきます。

さきほど、福島第一原発の4号機が、大変危ないというお話がありましたが、私たちも震災発生後、また原発事後が発生した直後から、この4号機の問題に関しては、大変、危ないんじゃないかというふうに、いろいろ議論をさせていただいております。
その中で、ずーっと思っているのが、この福島第一原発4号機の問題というには、たぶんすべての、日本全国の原発に同じような状況が起こる可能性があるのではないかというふうに思っております。
ただ、残念ながら、我が国は最終処分場も含めて、使用済み核燃料の処分場が決まっておりませんが、今、この4号機と同じような核燃料プール、他の地域のですけれど、それをどのように対応しなければならないとお考えでしょうか。

村田公述人:

ご指摘のように、すべての原発に共通の問題でありまして、あまり知られていない事実は、これから数十年にわたって、厳密な管理をしていかなければ、いつでも大惨事が起こりうると。そういうことでございます。
そういうな中で、私が二つを特記しましたのは、この二つが即、世界全体に及び得るという点で緊急の対応を必要とする、そういう主旨でございます。
それにしても、なんと未来の世代の代表となるべく志してきた立場の者としまして、この廃棄物に象徴される倫理の欠如、これは真剣に反省しなければならないと、そのように信じております。

外山斎議員:

お答えを、ありがとうございます。
まあ、六ヶ所の問題もあるわけですけれど、核燃料サイクル、私は、どちらかというと大変厳しい状態に置かれているのではないかな、というふうに思っております。
しかしながら、どんどん使用済み核燃料というものが増えてきております。
最終処分場が、この国にはまったくない中で、最終処分場の候補地として手を挙げようかなとすると反対の住民運動が起こる。
ただ、これを外国に持っていけばいいという話もありますけれども、私は、そういう無責任なことはできないのではないのかなと思っております。
どのように最終処分場を含めてですね、我が国としては、解決をしていかなければならないのか。どのようにお考えでしょうか。

村田公述人:

そもそも、このような放射性物質を作ることをすぐに止めなければならないはずであります。
その原点に立って、ものを考えなければ解決しない問題だと思います。
私は、夏までにも、脱原発政策の日本政府としての政策を確立して欲しいということを、私は叫んでおります。
そういう政策の確立がない限り、たとえば電気料金が上がるにしても、それをやれば、福島のような事故を避けられるという考えであれば、国民も納得して高い電気料金を払うはずであります。

しかし、脱原発政策の確立なしには、解決はありえないと思います。
そして、廃棄物の問題も、まさにそうだと思います。
そして、この現状が続けば続くほど、たとえば再処理工場は1日で原発が1年に放出する放射能を出すという、それほど危険なものであります。
事故が起きなくても、近辺に害を与えているわけでございます。
この放射能の持つ倫理性、本当に真剣に考えるべきだと思います。
倫理の欠如、不道徳という問題でございます。


02:13:53〜

浜田昌良議員(公明党):

村田公述人に、北朝鮮の問題をお聞きしたいと思っているんですが、いわゆる北朝鮮のミサイル発射というんですか、人工衛星打ち上げ問題があります。
その中にあって、3月26、27日にソウルで核セキュリティ・サミットがあるんですね。
6ヵ国協議の北朝鮮以外の5ヵ国が集るんですよ。
このときに、どういうメッセージを出すのか、求められているんですよ。
そういう意味では、核廃絶を進めておられる中にあって、この核セキュリティ・サミットで、どういうメッセージを日本が主導しながら出すべきかについて、ぜひお答えいただきたいと思います。

村田公述人:

私の立場は、一貫しております。
北朝鮮に、核の問題で日本が迫る際に、今の日本のダブルスタンダードの恩恵を受けている日本の立場では、説得力を持ち得ないと思います。
そして、福島事故を経験した今こそですね、民事・軍事を問わない核廃絶を伝えるべきだと、私は先ほど、夏前までにと言いましたが、次の会議までにもやるべきではないかと。
そして、先ほど申しましたように、今の本当の危機的状況というのは、脱原発を早める状況になりつつあると。
世界は、日本の実態を知り尽くしたんです。
一週間前は、ドイツが原子力ムラの衝撃的なものを放映しました。多くの友人から衝撃を受けたと聞いております。もう福島は世界の問題になったと。
そういうことでございます。

02:16:10〜

小野次郎議員(みんなの党):

みんなの党の小野次郎です。
村田公述人にお伺いしますけども、昨年末にわが国会は、日本と4ヵ国の間の原子力協定を承認しました。
それは、ヨルダン、ベトナム、韓国、ロシアでございました。
この原発輸出に関連する協定なわけですけれども、他にも報道ではトルコ、リトアニアなどとも政府は協議を開始しているようでございます。
こうした原発輸出先国について、私は自然災害による事故、福島の場合には、少なくとも原油は自然災害から始まったわけですけれども、このリスク以外に、原 発の耐用年数っていうのは、造り始める段階から終わりまでを考えれば4、50年あるわけですけれども、この非常に長い時間にわたってですね、当該地域が武 力紛争とかテロに巻き込まれるリスク、これ我が国の国内と比べたら比較できないほど高いものがあると私は認識してます。
それは、言葉を換えれば、新たなその地域の緊張要因を我が国自らが作り出すという恐れもあると心配しているわけですけれども、この点について、公述人は、どのように認識されますか。

村田公述人:

ただいまの小野先生のご懸念、私、まったく賛成いたします。
そして、福島の教訓の一つは、先ほど申しましたように、いかに原発というものが脆弱であるかと、燃料プールを狙えばいいと、電気を断てばいいと。それ大惨事と。そういう状況でございます。
そういう中で、この原子力協定の問題とは、とうていあってはならない倫理の不足を反映していると。
これを変えるというのは、今すでに盛り上がりつつある世論だと思います。
今や、経済重視から生命重視への大きなパラダイム・シフトを、福島原発は世界に起こしつつあるわけです。
そして、ウクライナ政府の発表によれば、チェルのブイリの犠牲者の数は、最終的に病気になった260万人と。そのうち、子供は60万人。
こういうものが、悲しいかな日本でも出てくるわけでして、世論は、今のような日本の不道徳を認めることはありえないと。
時間だけの問題だと、そのように考えております。

小野次郎:

続けてお伺いしますけれども、村田公述人は、六ヶ所村の再処理工場についても心配、危険性を大変指摘されていますけれども、それにも関連すると思うんです。
日本では核燃料サイクルが完結していないわけですね、できあがっていないわけです。
国内が難しいからとって、じゃあ使用済みの核燃料を海外で再処理するという方式については、どう評価されるか、特に4つの協定と僕が言いましたけれども、 このロシアとの原子力協定というのは、別にロシアに原発を造ってあげようと、というのではないんですから、むしろ日本の核燃料の再処理をロシアでするため の協力協定だと言われています。
そうした日露の原子力協定なんていうのは、特に私たちが進めようとしている脱原発には、まったく逆行しているという指摘もあるんですけれども、これについて公述人はどのように認識されますか。

村田公述人:

まったく、お考えに賛同いたします。
そして、これはさきほどの協定の問題とまったく同じであるということが言えると思います。
そして、そのようなことを、この日本の国民が認めることにはならないと確信しております。

小野議員:

こうした我が国の原発輸出の──初対面なんですけれども、こうして意見が一致することもあるんだな、と思うんですが──外交政策ですね、ある種の、次々とこうして協定を結んできているわけですから。
こういった原発輸出政策と言うのは、去年の福島の東京電力の原発事故の後の放射能汚染の問題というのは、依然として国内では大きな問題であるにも関わらず、こうやって海外には進めていっているという方向性について、地球規模で考えて公述人は適切な方向だと思いますか。

村田公述人:

私は2004年に、「日本の命運を左右する電力会社」という文書を指導層に提出しました。
それからしばらくおいて、スマトラの津波の後、この日本における85メーターの例、カナダにおける500メーターの津波の例を挙げて、海岸にある原発のすべての危険性を指摘しました。
この意見を、いささかでも聞き入れていたならば、福島は防ぎ得たわけです。
私は痛感しました。
これは原子力独裁というものが日本にあるんだ、と。そして、その独裁体制は、いまだ残存していると。悲しいかな、残存しているわけであります。だからこそ、さきほどご指摘の諸問題が、まかり通っている、ということであります。
しかし、もう限界であります。
福島の事故は、これに終止符を打つための、すでに兆候が始まっております。
ということで、ある意味では、私の資料でも差し上げました、この「母性文化への潮流」というものは、オバマ大統領がその旗を振って歴史的役割を果たしつつあるわけですが、すべての独裁を終焉さしめるという方向で働き出していると。
これは、時の流れが、すでにいつくか実証している例もありますが、そういう母性文明、母性文化という流れの中で、今のこの原子力ムラの残存が見られる諸政策は、必ず頓挫すると確信しております。

小野議員:

村田公述人は、この国連倫理サミットに向けて、いろんな方と交流されておられるようですけれども、どういうコンセプトの、サミット級の会合をイメージされておられるのか、わかりやすくご説明いただきたいと思います。

村田公述人:

そもそも、この働きかけを始めましたのは、さきほど言及いたしましたバーゼル世界大会で、私の演説が評価されまして、私が窓口となって、当時の国連事務総長に働きかけると。
そして、その趣旨は倫理の内容を討議するのではなく、倫理の重要性を想起するものです。
そういうことで地球倫理国際日というものを、そのサミットで定めようと。
そして、今年出した私の関係する学会の研究アピールで、3.11を地球倫理国際日にしようという呼びかけを始めているわけであります。
そして具体的には、今年9月の総会にオバマ大統領がイニシャティブをとって、その場でこのサミットを実現すると。
オバマ大統領は、このプラハ演説以来、まだ世界が待ち受けている第二弾が出てきていないわけです。
そのフォローアップとして、9月の国連総会における国連倫理サミットを実現すると。
そのイニシャティブをとるために、駐日ルース大使にお願いしているところであります。

小野議員:

ちょっと話題を変えますけれども、村田公述人にお伺いしますけれど、今、日本国内は原発再稼動、いつ、どこから認めるかという話になっています。
そのロジックは簡単でございまして、この原発50基近くあるすべて止めたままにしておいたら、日本のエネルギーは賄えないという問題があり、一方で電力料 金の値上げ、このままでは値上げをして、燃料価格の高騰のために高くなっちゃうよという、国民には「どうするんだ」と投げつけられている状況にありま す。
しかし、同時にこれは日本国内だけの内向きだけの損得勘定だけで、良いか悪いか結論を出せる問題ではないと私は思っているんです。
それは、国際的に日本が去年の事故を経て、1年経った今、どういう評価を得ているかっていうことを、ちゃんと認識した上で、国民が決めていかなければいけないことだと思うですね。
それで、お伺いしますけれども、事故の再発防止、それから日本国産の食料品、農産物の安全の確保。
そして去年から1年経った間に、この原発事故に対する事故収束の能力、技術等について、我が国の能力は十分に国際的な信頼を回復していると認識されますか。

村田後述人:

まさにそれとは逆でございます。
世界は日本の経済重視の姿勢が、まだ生命重視に転換していないと。その犠牲になる恐れを抱き出したんではないかと見ております。
さきほど、ご紹介しましたアメリカの議会の公聴会、軍事委員会を求める動きといったものに、すでにその兆候が表れております。
ドイツの微に入り細をうがった原子力ムラの実態の紹介と、さらに世界的に権威のあるネイチャー誌が、例の黒塗り資料提出の問題について、表紙でですね、それを露出すると。
このようにすでに地震原因説がほぼ確立している状況の中で、この安全と認定する信用のおける機関も存在せず、そして、その地震原因説に対する手を打つこともなしに、再稼動するなど、とうていありえないはずであると、そのように確信しております。

小野議員:

まあ、私もあんまり倫理といっても、人に倫理を説くほどの人間ではありません。悩みの多い人間ではありますけれども、ただ、言えるのは、誰も他人に対して、他人が不安に思うことを、あらためてやってはいけないというのが倫理というのか、当然の条理だと思うんですね。
そういう意味で、原発再稼動を日本が急げば、その国際的信頼が回復していないまま、それをするならば、やはり周辺の諸国に、というか世界中に不安を感じさせる心配があるんじゃないか、ということがひとつ目。
二つ目には、この国際的な信頼が回復しないまま原発再稼動を進めるということも、日本の主権の中でやる分には、物理的には可能かもしれません。
しかし、そのことがですね、今、多くの農家の方、あるいは、いろんな日本と海外の貿易に関係している方たちが、非常に迷惑を受けている風評被害、こういう ことについて、海外諸国において日本の農産物、食料品に対する、ま、風評被害だと我々、言っていますけれども、おそらく日本地図を地球儀で見れば、ここは 原発に近いところだ、ここは距離があるんだってなことは、なかなか世界の人には理解しづらいと思うんですね、地球儀の上でみれば。
そういった中で、日本に対する信頼がまだ回復していないうちに、また原発を動かし始めますとすれば、そういった多くの方が不安に思っている海外との取引、 農産物などの輸出における風評被害というものが、かえって、また、外国にしてみれば、止めろということができないんだったら、少なくとも、そこから出てく るさまざまな制約というものは、なくならないんじゃないかなと心配しているのですけれど、その点についてのご認識をお伺いしたいと思います。

村田公述人:

全面的に賛成して恐縮でございますが、そういう懸念をすべて私も持っております、同じような。
そして、特に私が今日、伝えたかったのは、戻りますが、4号機につきましては、放射性セシウムの量は、4号機だけで、戦後、大気中で行われた核実験すべてものと同じであると。
かてて加えて、さきほどの共用プールの6700本などをやれば、事故が起きれば世界が終ると断言できるほどの放射性物質が放出が予想されるわけであります。
それにもかかわらず、なぜでしょう。危機感がありません。
私は、これは想像力の欠如だと思います。
想像力が欠如すると、倫理が欠如するわけであります。
そういう意味で、今こそ、福島の犠牲者の声をもっと国民全土に広げましてですね、そして、いかに原発事故が罪深いものであるかということを、しかも世界の為政者にも伝えなければいけないと思います。
ある意味では、菅さんが東電の撤退を止めたと、あれは歴史的役割だと評価されております。
これは何を意味するかというと、究極の破局が発生すると、その可能性が現実のものであるということが示されたわけです。
そして、4号機の危機。それは、まさにその実例であります。
どうか、危機感を持って、その対策を早めるように、ご尽力をお願いしたいと思います。

小野議員:

4号機の危険性については、他の向きからもいろいろ指摘されていることですので、私たち、国会議員として政府に対する追及というか、正していきたいと思います。
今日は、ありがとうございました。
他の、お二人には質問する時間がなく、大変、恐縮でございますが、今日はご苦労様でございました。これで終わります。




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