国際善隣協会における講演記録(抜粋)
2017年5月11日
元駐スイス大使    村田光平


 最近の世相からは哲学が究明する歴史の法則を意味する「天地の摂理」が実感されます。不道徳の永続は許されないのです。想起されるのは老子の「天網恢恢 疎にして漏らさず」という名言で、現に悪事が次から次に露見しております。日本が直面する緊急課題は、地震学者が警告する福島第一2号機の建屋が震度7ク ラスの地震が発生すれば崩壊し、その結果放射能が拡散し東京も住めなくなるという2号機危機への対応です。そのために一日も早く東京五輪を返上し福島事故 収束に向けて全力投球することが求められます。

 福島第一の2号機問題は福島県庁も危機感をもって國に対応を真剣に申し出ております。主管課長からは「 竹本修三先生(京大名誉教授・大飯原発京都訴訟団長)の報告文を読みました。 先生の論点(#2の燃料デブリの全容が把握できていない。M7クラスの地震動による影響が懸念されること、炉内構造物が長期に補修されることなく放置され ることによるリスクが心配されること)は、どれも廃炉問題の本質を射貫くものと思います。(中略) 昨年、11/22に福島県沖で大きな地震があったので、なおさらです。」との連絡を最近受けております。

 東京五輪は招致に際しての公約に全面的に違反し、オリンピック国際委員会(IOC)は誰も信じない“under control”の再確認を求める各方面からの要請に未だ応じようとしておりません。放射能の拡散が続く福島での野球、サッカーの開催は著名な Robert Hunziker米記者は4月14日、「史上最悪のメルトダウンを起こし、100% out
of control の危険きわまりない福島での五輪競技の開催」を決めた責任を厳しく問いつつ、福島での継続するメルトダウンから関心をそらすのが東京五輪の狙いであると断じております。

 東京五輪担当のコーツIOC副委員長の問題発言による更迭が伝えられました。
 始まっているIOC批判の声が届き出しているのかもしれません。去る5月7日、京都で原発に批判的な京大関係者との小人数の勉強会に出席しましたが、東京五輪返上に対する強い賛同の意見が一同から表明されました。






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