国家ヴィジョン研究会主催シンポジウム   村田光平発言主旨

「中国に如何に向き合うか ―日米中の3国関係の視野からー

平成25年3月26日
村田光平


 日本の将来の国家像としては国際貢献国家がふさわしく、神仏習合を生んだ包容力のある和の母性文化は自然崇拝を基礎とする神道に由来するものであり、破 局をもたらす力の父性文化のユダヤキリスト教文明との習合をも可能とし、世界平和実現に不可欠なものとなりつつある。中国側からの挑発行為への対応といっ た現実の課題も、より大局的視点から日本の本来の母性思考の対話により中国及び米国双方との良好な関係を維持しつつ福島事故により課せられた核廃絶に向け ての日本の使命に対する中国及び米国の支持と協力の取り付けに動きだし、世界全体を視野に入れた新たな土俵を提示することが切望される。福島事故処理の現 状が世界を脅かしているのが冷酷な現実である。

1 日米中の展望と概況   

 将来の日本の国のあり方としては、天地の摂理に沿い、倫理国家として福島事故の教訓である民事、軍事を問わない核廃絶の実現をはじめ世界に貢献して行く国際貢献国家を志向することが望まれる。

(1)現状
「対米従属策」と「対中敵視策」の重なる中国敵視の危険性
中国―大陸棚の一部との主張、国連ではBRICSや途上諸国の発言権増大,中国の発言権の強化
中国外しのTPPと米国外しの東アジア共同体 米中による台湾争奪戦
(2)展望
世界の中心はアジアへ
新興国の台頭と先進国全体の衰退(南北逆転という世界史の趨勢)
パックス・アメリカーナの終焉・日本衰退
米国―世界の安定勢力 エネルギー独立達成
中国―世界一の経済大国 世界の覇権者志向、不確実性は「中国の弱さ」 低成長と強硬姿勢
日本―少子高齢化の低経済成長国
アジア・太平洋の視点の重要性(ロシア、インド等の参画)


2 日本の現状

日本の「中国包囲網策」とロシア、韓国、インド、アセアン諸国、上海機構との関係  
日中韓FTAの交渉
望ましい日米中関係の実現に必要な母性文化的対応
違憲選挙と政治不信、
福島事故の教訓(経済重視から生命重視への転換)
オリンピック招致にみられる危機感欠如と日本のモラルの低下
事故収束と原発ゼロが最大課題
原発推進――その責任は想像を絶するほど重く深刻
反中的感情の高まり
特に一般日本人におけるネット世界での反中感情の高まり

3 習近平体制の中国

権力と富の一極集中
「人間本位」「科学的発展観」「和諧社会」といったスローガンを前面に出したことに国民は当初大きな期待を寄せた
腐敗対策の必要性の認識
「8条規定」と呼ばれる綱紀粛正 高級官僚の接待に利用されていた高級レストランはガラガラ、倹約令
警察国家から法治国歌へ(労働矯正制度の扱い)
環境汚染、200か所の「癌症村」
「きれいな空気は買うことができない」

4 オバマ政権と核廃絶
 
母性文化の国際的潮流を生んだオバマ大統領の歴史的役割
オバマは核廃絶の動き強める
ヘーゲル国防長官 核兵器全廃主張 史上始めて  カーター、ゴルバチェフ、南アのツツ司教、共和党主流派の元高官(ジョージ・シュルツ、フランク・カールーチ)パウエル、キッシンジャー、ベーカー元国務長官
軍事費の削減、条約なしの国際協調策
核兵器の危険性(北朝鮮、パキスタン)核兵器がテロ組織の手に渡る可能性(イラン、アルカイダ等)米ロの先行(ヘーゲル案〉
ジョン・ケリー国務長官は国際協調派、中国包囲網策の展望 中国との再和解 オバマ政権と共和党中道派の連合体vs軍産イスラエル複合体
カルバートクリフス3号機の建設却下と脱原発志向

5 日米中における核問題

非伝統的安全保障問題と日米中協力
・大気汚染、黄砂、PM2.5 
・運命共同体の日中
・原発と安全保障
・米国の核廃絶志向と日本の原発への影響──プルトニウムを作る核燃料サイクル、高濃度ウランを作る核燃料製造技術の廃止の必要性
・核廃絶に向けての日米協力
・サイバー攻撃の影響、新しい傾向、機密を盗むためシステムに侵入、産業制御システムを感染させ機能を停止させる攻撃、米国は軍事的対応の権利、本丸のターゲットとしての原発
事故が起きた時の日本への直接的影響──民事、軍事を問わない核廃絶の実質的動機

6 尖閣問題に代表される日中問題

総参謀部への造反気運 軍の幹部の入れ替え(臨戦態勢)
改革開放路線の継承、和平発展、核心的利益
海軍は核心利益派、棚上げは軟弱、レーダー照射は対米国発言の翌日(影射)処分留保の弱腰対応,習近平の政権基盤の脆弱性
軍事予算10.7%の伸び、11兆円
改革派メディア「南方週末」に対する言論弾圧
共青団派の李強克首相
文民統制(レーダー照射−フリゲート艦・護衛艦「ゆうだち」、軍の共産党離れ、関東軍化)これまでとの違い、
対話パイプの増強とホットラインの必要性
最悪のシナリオと権力闘争
当面の対策
・ASEANやインド、オーストラリアなど台頭する新興国との経済的な連携の強化
・日米協議の強化
・ロシアとの関係増進

7 日中間の信頼関係の構築へ

配慮すべき立場と歴史認識、
近代史を教えない教育、不勉強を責められる思いをする留学生
問われる反省の欠如(軍国主義と原発独裁)
被侵略国家の心情
歴史認識の共有化の必要性
侮中,反中,嫌中意識の克服、国民の意識変革の必要性
どこまで譲るべきか
「領有権は日本にあるが外交上の係争は存在する」
海難救助、漁業、資源開発などに関する協力の話し合い(丹羽宇一郎大使)
・棚上げへの復元
・日中共同宣言と日中平和条約の基本的精神への回帰
――主権・領土の相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉


8理念の追求

日本憲法の平和主義(紛争解決の手段としての戦争放棄)
地球倫理国際日3・11の実現(ユネスコクラブ世界連盟)とマハティール書簡
和の母性文化は脱原発、核廃絶の思想的根拠、母性文明の基盤
日本は平和、福祉、環境を立国の柱に、GNHの高い社会を志向
し、新しい文明への転換(低成長、ゼロ成長,縮小、下降へ)知足経済学の導入に貢献
中国の「発展」は西欧流のGNP競争の後追い 再評価に値する中国文明
母性文化に基づく母親を大切にした家族尊重の思考を中国に勧める
父性文化の儒教の影響の強い中で母性文化の源泉である老子の再評価の動きがみられる
孔子の君子についての考え(知識のみは小人、徳性、教養を備えた
君子) 儒教精神と武士道精神の復興の呼びかけ
国家の徳性の回復

9結語

政官財文化から地球市民文化への転換と地球市民の連帯の促進
個人的体験について


資料
父性・母性文化の特徴
地球システム・倫理学会緊急アピール
ユネスコクラブ世界連盟の声明
マハティール書簡
ルース駐日米大使書簡
潘基文国連事務総長書簡



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