小泉純一郎総理殿
平成30年5月31日
村田光平
(元駐スイス大使)
拝啓    
ご賢察の通り「信なくば立たず」は国際社会にこそ当てはまります。
貴総理も糾弾される虚偽声明により獲得された東京五輪開催に正統性は無いとの批判は強まる一方です。国際社会が早晩この問題を取り上げることは不可避と思われます。

この程発出したGuterres国連事務総長宛書簡(こちら)を お届けいたします。同書簡でも指摘いたしましたが、福島事故に伴う非常事態宣言が今後100年間以上も解除されない見通しのもとでの東京五輪は本来問題外 の筈です。「倫理の崩壊」が取り沙汰される日本の現状は海外でも当然不安を生んでおり、放射能被害が懸念される福島県内での一部競技の開催は「狂気の沙汰 madness」とのコメントがIPPNW(核戦争防止国際医師会議)のMartin Vosselerスイス支部共同創設者からこの程寄せられております。
こうした現状のもとで国際社会は東京五輪の安全性を再確認する責務を新たに負うに至ったと思われます。

権力は先哲が指摘したとおり倫理・道徳と反比例する関係にあり、最強の権力の最大の敵は倫理・道徳であると言えると信じます。
次から次に不都合な真実を表面化させ、老子の正しさを立証しつつある日本社会は、政党を含む不道徳な組織の「泥舟化」をもたらすことが予見されます。既に取り返しのつかない信頼失墜に見舞われた組織の事例がいくつも見られます。

新たな時代の到来は福島事故処理の実情につき国民を覚醒させる東京五輪返上が契機となりうると考えております。
日本の名誉を守る最近の発信に対しては内外からお会いしたことのない方々からも熱い声援が送られてきており意を強くしております。

貴総理の一層のご健闘とご自愛をお祈り申し上げます。
敬具



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