小池百合子先生
平成28年7月2日
村田光平
(元駐スイス大使)
拝啓
この度の都知事立候補のご英断に心からご声援をお送り申し上げます。
ご賢察の通り全ての公約に違反した東京五輪は崖っぷちに立たされております。
かねてより「名誉ある撤退」を訴えてきた立場より近況を報告させて頂きます。
この度の英国のEU離脱は
主要国において、エリート・支配層が民意に耳を貸そうとしないことへの反発・抵抗の現れではないかという見方が市民社会では有力です。ノブレス・オブリー
ジュの忘却が原因であると言えましょう。これは英国に限らず、「エリート・支配層の病気」と称しうる日本を含む世界中に広がった症状です。
我が国ではとくに原発再稼動問題、東京五輪問題にこのことが当てはまります。
今週発行の「月刊日本」7月号は東京五輪・電通批判の下記特集記事を掲載しております。東京五輪返上を求める世論は高まる一方です。
内田 樹 ビジネス化した五輪を廃止せよ
玉木雄一郎 五輪マネーを仕切る電通
田崎健太 電通がスポーツ利権を肥大化させた
本間 龍 公取は電通にメスを入れよ
ウエスギタカシ 「電通を批判したら大変なことになる」
東京五輪の決め手となる海外からの福島の現状評価の一例として、ロス在住のHunziker記者が記事サイト「カウンターパンチ」に掲載した記事が注目
されております。日本の関係者による信じ難いフクシマ隠ぺいの実態が書かれております。芸人ジャーナリストのオシドリ・マコさんがドイツで福島報告をして
日本政府と東電を糾弾したことにも言及があります。
同記事は小泉元総理による脱原発の立場に言及し、トモダチ作戦で被爆した米軍兵士を見舞うため最近訪米した事実に好意的に言及しております。(http://www.counterpunch.org/2016/06/21/fukushima-311-breeds-cynicism/)
このほど別添の通り「トモダチ作戦被害者支援基金」が創設されることとなり、別添の要領で小泉純一郎元首相の記者会見が細川護熙元総理の同席を得て行われることとなりました。9月には外国特派員協会での記者会見が予定されております。
上記記事ではIAEAを含む関係者による原発事故と放射能被害の呆れる矮小化が紹介されておりますが、今なお福島を忘れさせようとする動きが見られます。
小泉元総理による「トモダチ作戦被害者支援基金」の創設の動きは原発の恐ろしさを改めて想起させるものであり、被害者の被害と原発事故の関係を今なお否定し続けることの罪深さを認識させるものです。
また、今なお10万を超える原発事故避難者は、すべてを失い途方に暮れている現状が国民に十分伝えられていないこともあり、国民から十分支援を得られていないことが改めて痛感されます。本当に東京五輪どころではありません。
IOCによる失格判定を受ける前に福島及び熊本への対応に全力投球をするためという名誉ある撤退は今なお可能です。決断が急がれます。
ご理解とご尽力をお願い申し上げます。
敬具
追伸 2002年「原子力と日本病」を発刊し、石橋湛山賞に推薦されておりますが、このたび「エリート・支配層の病気」が世界中に広がっていることを指摘するに至りました。
市民社会の国際的連帯は今後益々強化されると思われます。
現在最も注目されるのはガーディアン英紙記者及びユマニテ仏紙記者が伝える近日中の仏検察当局によるJOC関係者の喚問要求の可能性です。東京五輪の帰趨を左右する問題です。
http://news.livedoor.com/article/detail/11579306/
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