小出裕章 京都大学助教授からのメール(2013.10.13)


村田 光平 様
 
 メール、いただきました。
 キール海洋研究所のHerzigさんからの返信も拝読しました。
 
 村田さんがお書きくださっている通り、福島第一原発の敷地には今現在、40万トンもの汚染水があります。
 それが全量、海に流出するようなことになれば、2011年3月の事故当時の放射性物質放出量をむしろ上回るでしょう。
 そうさせないようにしなければなりません。
 そして今日までにタンクから漏れた量はまだまだ少量です。
 
 ただ、私が危惧していることは、タンクに移された汚染水ではなく、すでに建屋の割れ目などからコントロールできないまま地面にしみこみ、少しずつ海に向かって流れだしてきた放射性物質、そして今後もコントロールできないまま海に流れて行ってしまう放射性物質です。
 それについては、水量も放射性物質量もわからないままです。
 従来の監視体制も不十分でしたし、今後も海の汚染をしっかり監視することは大変です。
 でも、監視を強める必要があると私は思います。
 また、崩壊熱が当初の数百分の一まで減った今、水での冷却をやめ、汚染水そのものの増加を防ぐべきだと思います。
 そのための方策として、私は金属での冷却を提案していますが、それを実行するためには、金属の専門家、流体工学の専門家、福島原発の現場を知っている技術者など多数の専門家が知恵を出し合う必要があります。
 政府や東京電力にはぜひともそのような組織を作ってほしいと思いますが、残念がら、そうなっていません。
 
 ご活躍いつもありがたく思っています。
 
                    2013/10/13  小出 裕章



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