菅 直人内閣総理大臣殿

平成23年3月28日
村田光平


拝啓

 毎日の御奮闘に心から声援をお送りいたします。

 その可能性がいまだ排除されない原子炉爆発という恐怖の元で日本国民が原発に対しどのような気持を抱いているかを内外に伝えることは日本の責務と考えます。
 21日、ルース駐日米大使宛に、二度と今回の日本の悲劇が繰り返されないようにするため、平和利用を含む核廃絶の理念を打ち出す国連倫理サミットの開催 を訴えるメッセージを発出し、オバマ大統領への伝言を要請しました。潘基文国連事務総長、国連総会議長及びフォーレ駐日仏大使にも同趣旨のメッセージを発 出いたしました。

 日本はついに原子力の軍事、平和双方の利用の唯一の犠牲国となりました。民事、軍事を問わない核廃絶を世界に発信してゆく責務を負うに至りました。これ こそ今回の不幸を無駄にしない唯一の世界への貢献だと確信いたします。国連倫理サミットの開催により「核兵器も原発もない世界」のヴィジョンの国際的確立 を目指していく状況が現出しつつあります。
 ご報告した通りルース駐日米大使も私に対し同サミットと核廃絶の関係を認めております。
 国連倫理サミットの開催実現を日本のイニシャチヴとして一日も早く世界に訴えるようお願い申し上げます。
 旧ソ連のように事故処理に80万人あまりの要員を強制的に動員しうる体制もなく、スウェーデンのように法律で国民の事故処理の義務を定めていない日本 で、東海大地震が発生し浜岡原発が核分裂暴走事故となれば日本はお終いです。世界中に計り知れない放射能災害がおよびます。既に92万余り集められた反対 署名を100万台に早急に到達させる運動が一昨日始められました。各方面よりの支持の申し出の激増が見られます。もはや大多数の国民にとり浜岡原発の存続 は論外だと思われます。
貴総理のご健闘とご自愛を心からお祈り申し上げます。
敬具


菅 直人内閣総理大臣殿

平成23年4月30日
村田光平

拝啓
時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
「進む決意と、悼む心と」のご心境での日夜のご奮闘に心より声援をお送り申し上げます。

 五月中旬発刊予定の「朝日ジャーナル」に掲載予定の小論をお届けいたします。国連倫理サミット、母性文明、民事、軍事を問わない核廃絶の三位一体の目標に日本が立ち向かうことを訴えております。

 あらゆる立場を超えて浜岡原発の運転停止をとめるべきとの声がどんどん上がり出しております。昨29日には、鬼頭秀一東京大学教授(環境倫理学),鎌田 東ニ京都大学教授(心の未来研究センター)、中川十郎日本ビジネスインテリジェンス協会会長(日本大学大学院講師)の3名より私に対し、日本を救うため に、全国署名の賛同者に加わりたいとの申し入れがありました。先日ご報告した4名の大使経験者に次ぐものです。
 静岡県湖西市の三上元市長は21日、静岡市で開かれた県内23市長による「静岡県市長会」の席上、中部電力に対し「対策を強化するのは現状の安全策が不 十分だからではないか。まず原子炉を停止してから対策をすべきだ」と訴え浜岡原発(同県御前崎市)の即時停止を求めたことが報じられております。(産経新 聞 4/22)これが常識と思われます。地元が動き出しました。

 日本の原発の地震に対する脆弱性を早く(20年以上前)から訴えていた数少ない地震学者の石橋克彦神戸大学教授(当時)と私は「世界」〈2005年7月 号〉に掲載された対談で浜岡原発を中心に必死に「原発震災」に付き警鐘を鳴らしました。こうした声を無視するところから福島原発事故は起きてしまいまし た。
 その帰趨が不明な状況の下で、マグニチュード9の可能性すら指摘され出した東海大地震が発生すれば日本がどうなるか、世界はどうなるかはご賢察いただけるものと確信いたします。

 貴総理のご決断を心からお願い申し上げます。
敬具

ホーム

inserted by FC2 system