インタビュー記事
村田光平


 本来、日本は調和と連帯を特徴とする母性文化の国です。そのDNAの源泉は縄文文明です。明治維新以降、日本には、軍国主義という形で、競争と対立を特 徴とする父性文化が導入されました。歴史が証明しているように、父性文化は究極的には破局をもたらします。敗戦です。福島の原発事故は、戦後に経済至上主 義という別の形で導入された父性文化の結果であります。母性文化が唯一の救済策です。したがって、福島の教訓は、経済重視から生命重視への転換であるとい うことが強調されねばなりません。この転換は具体的には、現在の男性が主導的役割を演じる父性文明を女性が主導的役割を演じる母性文明へ移行させることに より実現することでしょう。最近の女性の各分野での活躍ぶりは誠に目覚ましく、母性文明への期待が高まりつつあります。

 今日、人類が直面する危機は文明の危機であります。金融危機でも経済危機でもありません。その真因は倫理の欠如です。未来の世代に属する天然資源を乱用 し枯渇させること、そして恒久的に有毒な放射性廃棄物及び膨大な債務を後世に残すことは倫理の根本に反します。地球倫理の確立は、母性文明の創設の前提条 件なります。この新しい文明は、倫理と連帯に立脚し、環境と未来の世代の利益を尊重する文明と定義できます。その達成のためには3つの転換が必要です。自 己中心から連帯へ、貪欲から少欲知足へ、そして物質主義から精神主義への転換です。このような文明であれば、必要なエネルギーは自然・再生可能エネルギー で十分得られることは疑いがありません。ただし、過渡期においては化石燃料による補充が必要です。人類そして地球の長期的安全のために、原子力エネルギー を使用しない生活様式を取り入れて短期的犠牲を払う覚悟が必要です。




HOME


inserted by FC2 system