松下広島市長および田上長崎市長へ発出したメッセージ

2011年7月8日
村田光平

 本8日付朝日新聞によれば、広島・長崎の平和宣言の中ではっきりと脱原発を訴えることなくエネルギー政策転換を求める方向で検討が進められている由です。もしこれが事実だとすれば、これまで軍事面のみの核廃絶を訴えて来たことに対する反省はないのでしょうか。

 福島原発事故により、日本国民はようやく原発がいかに恐ろしいものであるかを思い知らされるに至りました。しかしながら、日本社会において、このことに ついての反省と責任の自覚が誠に不十分であることに驚きを禁じえません。この期に及んで地下原発の建設を提言する動きすらみられますが、日本国民として恥 ずかしく思います。政府、マスコミの責任は重大です。
 世間にさらけ出された原子力政策とその実施体制の重大な欠陥について抜本的な改善措置が取られることなく、政府から地方自治体に定期検査後の原発の運転 再開要請が行われておりますが、原発の安全が真に保証される状況にないことは自明であり、運転再開は現状ではあってはならない筈です。

 原子力の軍事利用に加え民事利用の犠牲国となったことは、日本人として広島、長崎の犠牲者に合わせる顔がありましょうか。来る8月6日の広島平和記念式 典で日本の総理大臣より世界に向けて、民亊、軍事を問わない核廃絶に向けての決意を表明する責務があると確信しております。これなくして福島事故の犠牲者 に対しても合わせる顔がない筈です。
 福島原発事故が日本に、そして世界に何時収まるか分らない深刻な放射能災害を広げつつある状況の下で、広島・長崎の平和宣言で脱原発を明確に訴えること を躊躇させる向きがあるとすれば、これを克服することは緊急の課題だと信じます。九電の「やらせメール」は電力会社の実態をさらけだし、今や日本国中に電 力会社のあり方の見直しを求める大合唱が起き出しつつあります。
 貴市長のご英断をお願い申し上げます。

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