力の父性文明から和の母性文明へ
平成27年11月23日
村田光平
 福島事故は日本のDNAを傷つけたと言われる程の禍根を残しました。原発は、人類社会として到底受け入れることのできない惨禍をもたらすものであること を思い知らされております。福島の教訓は、そのような可能性をゼロにすることの筈です。そして、経済重視から生命重視への転換がその帰結の筈です。しかし ながら現実には、反省もなく「放射能安全神話」の巻き返しによる福島隠しが見られるのです。このままでは未来の世代は放射能被害の無実な犠牲者になってし まいます。子供たちを放射能汚染地域から避難させることは急務です。

 2001年に『新しい文明の提唱~未来の世代へ捧げる』と題する著書を発行し、倫理と連帯に立脚し、環境と未来の世代の利益を尊重する文明の創設を提唱 しました。また、駐スイス大使時代から「未来の世代の代表」を名乗り講演活動を重ねてきたからです。同書では核エネルギーの軍事利用の犠牲国が原発事故の 大惨事に見舞われることにより核エネルギーの民事利用の犠牲になることに警告を発しました。
2005年6月、スタンフォード大学で開催されたOBサミット(議長はフレーザー元オーストラリア首相)にスペシャルゲストとして出席し、最終宣言に「人権は未来の世代を含むすべての人の所有物である」との一文を含めることに貢献出来ました。

 その後、2008年の北京オリンピックの開会式で2008名のダンサーが「和」の字を描いたことが契機となって母性文化の重要性に目覚めました。父性文 化は競争と力を重視するのに対し母性文化は調和と弱者への思いやりを大切にします。このような両文化のバランスをとることが必要になっております。(下記 比較表ご参照)
 世界平和の維持には母性的思考が不可欠といえます。父性文化が破局をもたらすことは歴史が示しております。今日、寛容と連帯に立脚する和の母性文明が、 技術のみに依存して危険を犯す力と支配の父性文明に取って代わることが求められます。母性文明とは正に上記拙著で提唱したものです。
 世界が直面する危機の真因は倫理の欠如であるとの信念から、近年倫理問題に関するハイレヴェルの対話フォーラムとして「国連倫理サミット」の開催につき 議論を重ねてきました。地球倫理、母性文明、そして真の核廃絶は三位一体の関係にあります。そこへの道を開く国連倫理サミットの開催を呼びかけを多くの人 々と共に続けている所以です。ユネスコクラブ世界連盟は2013年3月フロレンスにおいて3月11日を地球倫理国際日とすることを決定しております。この ように国際的な大きな流れが生まれつつあります。




父性文化と母性文化の特徴の比較


 現実に求められるのは、両文化のバランスであり、望ましい「度合い」だと思われます。
 母性文化の潮流は、究極の破局に向かう現在の「力の文明」を母性文化に立脚した「和の文明」に転換するために不可欠なものであり、歴史的な意義がみとめられます。

父性文化           母性文化

目標との関係
進歩       ―――      進化
直進       ―――      循環

他者との関係
自己中心     ―――      連帯
競争       ―――      調和
対立       ―――      協調
弱者切捨て    ―――  弱者への配慮
排他性      ―――     開放性
厳格       ―――      寛容
ヒエラルキー   ―――      対等

自己実現との関係
   知性重視   ――― 感性とのバランス
   強欲   ―――   少欲知足
   権力  ―――    哲学

目的達成手段
実力行使     ―――     対話
トップダウン   ――― ボトムアップ
指揮統制     ―――    自発性

環境との関係
  自然征服     ――― 共生〈トモイキ〉

頭脳との関係
  左脳   ―――   右脳

その他
 絶対主義     ―――    相対主義
 神       ―――     生命
 保守主義    ―――   革新主義
 原子力エネルギー ――― 自然エネルギー
 独裁      ―――   民主主義



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