安倍晋三内閣総理大臣殿
令和2年2月5日
村田光平
(元駐スイス大使)
拝啓
時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

100万トンを超える福島汚染水の海洋放出の動きは海外でも危機感をもって報じられ出しております。
https://www.zerohedge.com/economics/japan-set-release-12-million-tons-radioactive-fukushima-water-ocean-causing-immeasurable

その弊害を認識していたからこそこれまで1000をこえるタンクに入れて海洋放出を避けてきたのですから、この期の及んでの方針転換は弊害対策の放棄を意味するものであり、内外からの無責任・不道徳のそしりを免れません。
アメリカ及びカナダ西海岸の住民は本件に以前から重大な関心を寄せてきており、彼等からも「脅威の声」が上がるのは時間の問題と思われます。
なんとしても代案が求められます。
 
「地下水放射能汚染と地震」(オークラ出版)の著者であり地下開発の世界的権威である旧知の江口工 工学博士から4日、下記の連絡をいただきました。なお、同博士はチェルノブイリ事故発生の翌日ソ連政府に依頼され、放射能の近隣河川への流入を急遽阻止した実績があります。

1.現場の地盤は脆弱であり、4号機からの燃料棒取り出しの際にはタワークレーンの地下に200本ものアンカーを打ち込む必要があったほどである。地震によりタンクが将棋倒しになる事態が深刻に懸念される。
2.現場から数キロのところに日鉄鉱業の八茎鉱山(福島県いわき市四倉町に位置するスカルン鉱床)の坑道は広大であり、ここに一定期間汚染水を移すことを提案したいと考えている。これによる地下水への影響などについては万全の対策が考えられている。

ご高承の通り日本にとり地球環境加害国の汚名返上は急務となっております。
このような状況下での海洋放出は海外からの対応困難な対日批判を招くことが憂慮されます。現段階で最善といえるのは、陸上で長期保管し、並行してトリチウムを含む放射性核種の分離・回収技術を開発・適用することと思われます。
この見地からも汚染水海洋放出に取って代わる江口博士の提案を緊急に検討するようお願い申し上げる次第です。

貴総理のご指導とご尽力をお願い申し上げます。
敬具



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