安倍晋三内閣総理大臣殿    
平成20年1月12日
村田光平
(元駐スイス大使)
謹賀新年
 今年のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。

 年頭にあたり、いささかなりともご参考になればとの思いから率直に所感を述べさせていただきます。

 福島原子力事故が世界に拡散しつつある放射能汚染は日本が地球環境加害国であるとの批判を招きつつあります。特に、事故の教訓を学ぶことなく原発の再稼 働を進める日本の現状に関して、内外の市民社会は厳しい批判の目を向けております。「国家の品位」までが問われだしているのです。日本国憲法の序文が掲げ た「国際社会における名誉ある地位」を確保するために日本は動き出さねばなりません。このため、平和憲法のお蔭で戦後克ち得られた平和国家としての国際的 信頼を回復することが至上課題であることは論を待ちません。
 
 無責任、不道徳が深刻に嘆かれる最近の世相は哲学が究明する歴史の法則を意味する「天地の摂理」を想起させます。老子の「天網恢恢疎にして漏らさず」の教えの通り不道徳の永続は許されないのです。全ての独裁は終焉せしめられるのです。
 
 日本が直面する最大の課題は、福島事故処理ですが、深刻な緊急課題は地震学者が警告する福島第一原発2号機及びその脇に立つ排気筒への対応です。2号機 の建屋は震度7クラスの地震が発生すれば崩壊し、排気筒は強大な竜巻によっても倒壊され、その結果放射能が拡散し東京も住めなくなることを専門家は度重ね て警告しております。この警告は世界各地で天災が想定外の被害をもたらしている最近の情勢に鑑みれば、国としての存立として深刻に受け止める必要がありま す。東京五輪を返上し福島事故収束に向けて全力投球することが求められているのです。
 
 広島、長崎、福島を経験した日本は歴史的使命を帯びるに至りました。それは民事、軍事を問わない真の核廃絶の実現に決意を持って貢献することです。この 立場からすれば日本として核兵器禁止条約に対して取るべき姿勢は論を待ちません。広島・長崎の被爆者の方々の長年にわたる努力がこの度のノーベル平和賞受 賞により報われたことは、核兵器のみならず原発もない世界の実現に向け、国際市民社会の連帯が期待できる新たな段階を迎えたことをも意味すると思われま す。

 このたび小泉純一郎元総理及び細川護煕元総理が「原発ゼロと自然エネルギー推進」の立法化の国民運動に向けて動き出されたことは市民社会にとり画期的進展と受け止められております。
 
 貴総理のご指導とご尽力をお願い申し上げます。
 敬具




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